「200枚ぐらいは集めたんじゃねえかな」
彼は手の中のカードを無造作にシャッフルしながら言った。「スターターの箱に詰め込んでたんだけど、ふた箱いっぱいになったから」
その箱は見たことがあった。
かつて――というかマジックの歴史開闢からつい数年前まで、カードはブースターとスターターという二種類のパッケージで売られていた。ブースターは袋の材質や内容の枚数にこそ小さな変動はあるが概ね今と同じものだ。スターターは、シールド戦用、もしくは初心者のためと位置づけられた製品で、ブースターのほぼ3倍のカードに加えて基本土地が 30 枚入っていた。上級者は基本土地を(ある程度以上は)欲しがらないし、リミテッドをやるとしてもシールドではなくドラフトをやるからブースターがあれば事足りた。スターターは後にトーナメントパックと名前を変えたが、内容や位置づけは変わらなかった。
スターターの内容はそういうわけで 75 枚だが、ぎっちり入っているわけではなくむしろ余裕があったので、いっぱいに詰めれば 100 枚ぐらいは入る。奴が無造作にマジックで「こじあけ」と書いたオンスロートのスターターの箱を持ち歩いてるのを何度か見た憶えがあった。
「どうにもなんないカードだったよな」
僕はカードテキストを思い起こしつつ言った。
「あそこまでひでえカード作れるのはむしろすげえよ」
彼は応じた。「だいたいこういうのっていいわけみたいにキャントリップだったりするけどそれすらないもんな。」
奴が集めてたのは《こじ開け》のプレミアムカード、俗に言うフォイル、つまり箔押しカードだった。使うあてもなく、枚数の目標もなく、ただひたすらに集める。それでも奴なりに流儀はあって、自分の足で集められる範囲でだけ集めていたらしかった。自分で引いたり、直接の知り合いとトレードしたり(殆どの場合無償トレードだった)、店のフォイル箱から買い漁ったりしていたらしかった。それで 200 枚なんだから、まあちょっとしたもんだったと思う。
なんの役にも立たないカードでも、フォイルだと何がしかの値はついている。10 円とか、20 円とか、50 円とか。仮に平均 20 円だったとしても、200 枚なら 4000 円になる。スタンダードのトップレアが1枚買えるぐらいの金額にはなるのだ。
「最近ああいうカードねえのかよ」
んー。僕は少し考え込んでひとつ挙げてみた。《防御姿勢》とか。
どんなカードだよ。
僕が効果を簡単に説明すると、彼は大げさに首を横に振ってみせた。話にならん。こじ開けの足元にも及ばないぜ。
「いや、おれもそう思うけど。しょうがないじゃん、あれトップクラスのカードだよ」
「情けない。R&D はなにをやってるんだ」
うーん。まあ普通に仕事してるんじゃないかな。とは言わないでおいた。
一度だけ、彼のコレクションを机に広げてみたことがあった。まだ 120 枚ぐらいの頃だったと思うけど、一枚一枚隙間なくびっしり敷き詰めてみたのだ。蛸みたいなイラストがずらっと整列して、箔押しされたカードが部屋の蛍光灯を反射してぎらぎら光っている様は、見ているだけで気持ち悪くなりそうだった。
で、あれ、まだ持ってるの。僕は訊いてみた。
わからん。でも捨てるわけないからな。奴は即答した。たぶん押し入れの奥にでもあると思うよ。今度持ってこようか。
遠慮しとくよ、と僕は応じた。あれが世界のどこかにまだあるんなら、それでじゅうぶんだ。


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カテゴリを「ポエム」で登録しました(過去の分も変えています)。ポエジーあふれる文章を綴っていきたい。
「昔ヨーロッパ選手権ってあったでしょ」 彼女が言った。「まだ APAC とかやってた頃」
僕は肯いた。
昔というほど昔ではなかった筈だけど、マジック・ザ・ギャザリングでは国別選手権と世界選手権のほかに四大陸選手権というのを開催していた。四大陸というのは随分傲慢だと思うが、ウィザーズ・オヴ・ザ・コースト社は当時まだ(そして多分いまに至っても)アフリカと南極ではビジネスパートナーを見つけられていなかったのだから仕方ないかなとも思う。
あれで準優勝したデッキに《クリスの魔道士》が4枚入っててね、と彼女は続ける。マスクスとインベイジョンだったから 2001 年かな。あの赤単がどう見ても強いカード入ってなくて、2マナ 2/1 バニラとか、《石の雨》とかがメインで、なんかあれが忘れられない。《クリスの魔道士》かっこよかったなあ。プロのミュージシャンだったよね、確か。バイオリンかなんかだっけ?
「トロンボーン」 僕は訂正する。
「うわ、弦と管すらちがった」
彼女はちょっと首をすくめるような仕草をした。とにかく、あれで準優勝して、それっきり一度も名前見なかった。すごいお金なくて、賞金で楽器買う、あともしかすると家具も、そいで奥さんと一緒に外でご飯食べる、とか言ってたんだよね。それも含めて忘れられない。って言いながら、名前とか顔とかはもう忘れちゃったけど。
おれも憶えてないよ、と僕は応じた。確かに一度も名前見なかったもん。
ていうか、わたし優勝したのが誰だかも憶えてないや。誰が勝ったんだっけ? カウンターレベルだったと思うけど。
「アイヴィン・ニッター」 僕は答える。「カウンターレベルだったかどうかは、忘れた」
「カウンターレベルだったよ」 彼女は確信に満ちた口調で言った。
僕はうなずいて、あらためて考えて、愕然とした。それは確かにすでに 10 年前になってしまっているのだ。ヨーロッパ選手権はもう少し後まで続いていた筈だけど、7版-マスクス-インベイジョンのスタンダードは、10 年前に終わってしまった。あの頃僕はまだ定職についてすらいなかった。時間はたくさんあった筈だけど、いつも睡眠不足だった。あんまりデッキも組んでいなかった。
肯いたなりのまま俯いてしまっていたことに気がついて、はっと顔を上げた。彼女は僕の前頭部辺りを見ていたようだったが、僕と目が合ってもうっすらと浮かべた笑みを動かそうとはしなかった。少しの間どちらもなにも言わなかった。
彼女が沈黙を破った。こないだ、ひさしぶりにブリッジバーン組んでみたんだ。マッドネス強いかと思って。
どうだった、と僕は訊ねる。
すっごい弱かった。《クリスの魔道士》なんて泣きたくなるぐらい弱いの。彼女は先ほどとは違う種類の笑顔で言った。でも、起動するのは楽しかった。《癇しゃく》打てた時だけは、ちょっと強かったよ。

「《リシャーダの港》」
 彼はあまり考えずに、でもあらかじめその質問に対する答えを用意していたとは思えない程度には考えてからそう答えた。正直あまり想像しなかった答えだったので、わたしは思わず訊き返してしまう。「え、あの、リシャーダの港?」
「うん、あのリシャーダの港。同意してくれる人があんまりいないんだけど、おれあのイラストすごく好きなんだよね」
 わたしは小さくうなずいた。もう少し詳しく知りたいと思ったがどううながしていいかわからず、黙っていたら少し間を置いてからそのまま彼が続けた。
 メルカディアン・マスクスってさ、町が舞台だからか、ちょっと呑気な雰囲気があるカードが多い気がするんだ。《ごまかし》とか、《風船売り》とか。いやまあおれストーリーとかは全然知らないから、ほんとは殺伐としてるのかも知れないけど、でもカードだけ見てるとそう思う。
 彼はちょっと俯いて眉間の辺りに指を当てながらしゃべる。
 リシャーダの港もそういう雰囲気はあって、なんか信じられないほど海が綺麗だし、明るい。船も普通の帆船で灯台とか立ってる。でも港って名前のカードなのに構図は港が完全に隠れちゃってる。手前の町並みはなんとなく気持ち悪いし、左側には黒っぽい塔が立っててドラゴンかなんかの絵が描いてある。あれ《ドラゴン・エンジン》なんだっけ。で、水平線が妙に高い位置にあって、空も微妙に雲行きが怪しい。明るい、一見呑気な町の中の不穏な空気があのイラストに詰まってる気がするんだ。
 わたしは半ば感心し半ば呆気にとられていた。手前の塔? ドラゴンの絵? でも全体で言わんとすることには共感する。
「ああ、ちょっとわかる。一軒一軒の家もちょっといびつな形だよね」
 わたしが言うと彼もうなずいた。
「うん。水平線はぴっとまっすぐに描いてるのにね」
 そこで彼は薄く笑みを浮かべて、ここからはまあ個人的な感想なんだけど、と言った。《リシャーダの港》って多分そういうカードなんだ。メルカディアン・マスクスはカードパワーが低くて安全なセットだと思われてた。《港》だって、最初はあんまり誰も気にしてなかったカードだって聞いたことがある。でもそんなことはなかった。このなんてことない無色土地がマスクスで一番強いカードだったんだ。呑気な港町に裏の顔があるみたいに。海賊や巾着切りがうろうろしてて、下手すると翌朝には浮かんでるみたいに。
「だから好きなんだと思う、このイラストが」
 彼はそう言って締めくくった。わたしはちょっと可笑しくなってしまった。笑うのは失礼だから我慢したが、それでもこれだけは言っておく。
 ねえ、リシャーダの港のイラスト好きな人、たぶんそれなりにはいると思うよ。でも、そんな理由で好きな人、きっと他に誰もいないよ。

おぼえがき

2011年3月6日 ポエム
1. 自由交易の玄関口——《リシャーダの港/Rishadan Port》
ひょんなことで見つけたブログ「傘をひらいて、空を」が素晴らしくて、自分もどうしてもああいうのを書いてみたいと思い、劣化コピーになるのは承知でえいやっと書いてみた1回目。この時点では登場人物はこのふたりしか決めていない。あと、元ネタの影響が強く出てて形式段落が全部ちゃんと字下げになってるもんで後から見るとすごく浮いてる。
内容は《リシャーダの港》のイラストについて。これはおれもとても好きな絵なんだけど、語られているのを見たことがないのでちょっと書いてみた。みなさんも好きなイラストがあったら語るといいとおもう。


2. 刃を相手に触れさせることなく——《クリスの魔道士/Kris Mage》
たぶん赤いカードの強さは MMQ〜INV 辺りが最弱なんだけど、それでも時々思い出したように赤単はスタンダードでも活躍した。日本選手権で深田崇聖氏がトップ8入りした「スペッド・レッド」はご記憶の方も多いのではないだろうか。それと同じ年のヨーロッパ選手権で準優勝したプレイヤーの話。貧乏な音楽家と言われると確かに貧乏な音楽家としか思えなくなるような風貌の人で、賞金の使い途の話とか印象に残ってた。
余談。大陸選手権は北米、ヨーロッパ、アジア太平洋、ラテンアメリカと分かれていたのだが、北米選手権に出られるのはゲリー・ワイズによるとアメリカ合州国の人だけで、カナダの人は出られる大陸選手権がなかったらしい。まったく意味がわからない。
サブタイトルを「題材にしたカードのフレイバーテキストからとる」というルールはここで決まった。


3. 熟考の後で力ずく——《こじ開け/Break Open》
変異ってメカニズムとしては面白いんだけど実際どうなってるんだという話になると限りなく微妙で、いちおう灰色のタコみたいな姿という設定はあるが説得力に欠ける。その辺のグレーゾーンに全力で踏み込んだ上でカードパワー自体もお話にならないという凄いカードがこの《こじ開け》。自分のカードを表にできても普通に面白かったと思うんだけど、レギオンで「表になったときの誘発型能力」が登場することが決まっていたおかげで一応対戦相手だけにしとこうか、みたいなことになってしまったのではないかと邪推する。そうだとすればデベロップの失敗。
これの前後に《苔犬》の回を書いていて、そこまで全部最初が科白で始まってたのでこれからもそれで行こうと決める。
あのコレクションどうなったんだろうなー。


4. しじみ交換会——No cards with.
たしか差し込みで入れた回。サブタイトルのルールを決めたばかりなのに例外を入れるのもどうかな、と思いつつ書いた。今思えば差し込んでまで、という内容なのだが、つまり、どうしても「しじみ交換会」って書きたかったのだ。あとこれは余談だけど、ルールを絶対に守る覚悟がないのであれば、例外もあるということは早めに提示しておいた方がむしろいい。このシリーズではフレイバーテキストが無いカードが存在する以上ルールを守りきれないことは明らかで、その意味では例外が入ること自体は悪くない。
「骨董品を見せあうようなもの」というのは友人が実際に言っていた言葉で、なかなかいい表現だと思う。仲間内でのカジュアルな対戦だと、勝ち負けが心底どうでもいい、なんてことはないけど、どちらかというと「こんなデッキ組んでみたぜ?」という思いの方がたしかに強い。


5. 彼らは終わらせるために——《ファイレクシアの抹殺者/Phyrexian Negator》
後輩ことオオジマ登場。後輩キャラ出すならずぶの素人にするのがまあセオリーなんだけど、この時点で主要登場人物は4人で行くと決めていたので、主人公たちより早く始めたけどブランクがある、という設定にしてみた。まあ案の定古参の側の設定殆ど活きてないけど。
自分が始めた頃ちょうどスタンダードを去っていったピーキーなパワーカード、というくくりでウルザブロックのトップクラスのカードには憧れのような感情を抱いていたんだけど、《抹殺者》はその代表的な1枚。昔ズヴィ(だったと思うのだが)がなんだったかの文章で《抹殺者》に言及した時「1ターン目の《抹殺者》に《暴行》なんかを打たれると目も当てられない」みたいなことを書いていて、なぜ《暴行》? と思ったのが作中の状況の元ねたになっている。
この回の「人生の後輩という〜《呪詛の寄生虫》でだ。」のくだりはこのシリーズで今のところ一番面白い文章だと思っている。


6. 途切れる場所は見たことがない——《遥か見/Farseek》
これも差し込み。自分の予想を垂れ流すだけなので簡単に書けて楽しかったけど、こういう感じだと会話だけになってしまう、つまりフィクションという形式を取ること自体にあまり意味がなくなってしまう。とはいえそんなことは初めからわかっていたので、このシリーズをやる上ではそこは割り切っている。つまり、フィクションとして意味があろうがなかろうが書く。
ブロック構築に関する言及があって、「どういうわけかこのフォーマットだけはなかなか諦めない。」と書いたのだけどこれは思慮不足。ブロック構築が翌期のスタンダードを占うとはよく言われることで、なにもそれはプレイヤーにとってだけではない。
サブタイトルはラヴニカで刷られた時の日本語版のフレイバーテキストから採っている。以前も書いたが、こちらの訳の方が正しいと思うからだ。


7. 暴行殴打は——《オーガの戦士/Ogre Warrior》
このシリーズでサブタイトルにとった中ではもっとも知名度の低いカード。ポータルとスターターにしか入っていない4マナ 3/3 バニラなので存在意義も無いに等しいが、フレイバーテキストは忘れられない。あと今気付いたけどクリーチャータイプが Ogre Warrior だからカード名と同じだな。
これも別のところで書いたけど、末尾に書いてある「いわゆる『スターター 2000』で、ブースターはない。」というのは本来なら作中で出すべき情報だ。が、4人のうちそれを知っている可能性があるのはトシミツだけで、この回ではどうしてもオオジマがサキモトの後輩であることを出したかったので、トシミツの視点にすることができなかった。ほとんど実害はないのだけど、こういうのを綺麗に裁けないのは下手だなあと思う。


8. 見れば見るほど、そいつは——《苔犬/Mossdog》
これは差し込みの逆で長く寝かされていた回。《こじ開け》の回のところにも書いたけどその前後に書いている。《遥か見》の回でもやっている「いきなり人のブログにリンクを張る」という手法は元ねたのパクリ。
昔のクソカードを語りながら主人公たちのマジック歴を(比較的唐突でなく)披瀝していて悪くないが、最後の笑いあうところはキモいと感じる人も多いだろうな、と思いながら書いた。そして今読んでもやっぱり、これ微妙にキモいなー、と思う。
駄目なカード 100 選の記事はサイドボードスレッドでみんなで分担してわいわい訳したのを憶えている。なかなか楽しかった。《こじ開け》と《苔犬》は自分が訳したと記憶しているのだが、どうだったか。


9. 友人は知りたいことを教えてくれるが——《リスティックの研究/Rhystic Study》
リスティックの研究が結構高い、というねたとしてはそれだけのことを書いた筈がやたら長くなってしまった。この回は完成に至るまでもちょっと回り道をしていて(そのうち公開するのでその時あらためて書く)、結局書き始めてから半年以上かかった。コストパフォーマンスが極めて悪かった回。
プロフェシーは好きなエキスパンションなので、またなんとかねたにしたい。
青空マジックは、気候がいいときならけっこう気持ちいいですよ。


10. 精神的にもっともすぐれた者たち——《クウィリーオンの歩哨/Quirion Sentinel》
マスクスインベイジョンの会への応援、的なエントリ。作中にも書いたけど、ちょうど自分が始めた時期でもあり楽しそうだと思っている。実際に参加するのはいろいろあって難しいが、一度ぐらいは出てみたいものだ。
いちおう「回りきらなかったメタゲーム」というのもテーマになっている。例えばオデッセイ・ブロック構築がもう少し長く続いていたらどうなっていただろう、とか妄想するのはちょっと楽しい。これも作中にも書いたとおり、近年は MO もあるからメタゲームは概ね回りきってしまうのかも知れないが。
あと、おちにしちゃったけど、《クウィリーオンの歩哨》のイラスト、けっこうひどいよねえ。


11. Don’t call me Bob——Invitational Cards
この回は自分の思考と調べたことをそのまま会話に落としこんだだけなので、9.とは対照的にさらっと書けた。具体的にはふと「《闇の腹心》って基本ボブとしか言わないよな」と思い立ち、その少しあとに「逆に《瞬唱の魔道士》をティアゴって呼ぶことはねーな」と思いついて、あとはそこから転がしていっただけ。インヴィテイショナル・カードの話になったらテリーがおちになるのは申し訳ないが仕方ない。
一度書いたけど、この文体で多人数で会話させるのは難しい。口調以外で発言者を区別させられれば理想ではあるが、実際のところこのような会話ではそれは不可能だからだ。


12. あらゆる犠牲が払われた——《闇の腹心/Dark Confidant》
ボブ・メイヤー・ジュニアに対して思っているところを書いただけの回。いい感じにコメントが付いて、それに対する返事も書いたので、それ以上付け加えるべきことはほとんどない。そのコメントの返信で書いた通り、実力や実績に対して得たものがいささか大きすぎたプレイヤー、という印象を持っている。あと、《闇の腹心》が作られたときのインヴィテイショナル・カード《Asp’s Grasp》も不誠実だったと思う(参照→http://drk2718.diarynote.jp/201108240126453059/)。


13. ほかの奴らにも買えるってことだ——《反逆者の密告人/Rebel Informer》
スコット・M・フィッシャーはわりとけばけばした色使いのイラストを描く人で全体的にはあんまり好きじゃないんだけど、このカードとか《人さらい(7ED)》とか《セラの報復者(M13)》とかいくつかのとても好きなイラストも描いていて、自分の中では評価が定まらないイラストレーター。だいたい絵の好き嫌いってイラストレーター単位で決まってくるもので、好きな絵も嫌いな絵も描いてる人ってあんまりいないように思う。
《反逆者の密告人》と《傭兵の密告人》のデザインが対称になってないのは最近気がついた。ほぼ間違いなくどちらかがミスなのだけど、どちらが本来意図されたものだったか考えるのは面白い。自分の考えはカナイの見解に近い。つまり色マナの要らない《反逆者の密告人》が本来のデザインだったのだと思う。


14. ただし許可を持つ者に限る——《神聖なる泉/Sacred Fountain》(ショックランドの期待値:pt.2)
この記事は書かれた当時からドラゴンの迷路発売直後ぐらいまで(このブログとしては)かなりアクセスを集めたと推測され、珍しく需要のある記事を書いたことになる。以前も書いたが、わざわざタイトルにショックランドという言葉を入れてまでアクセス数を稼ぎに行った記事なので、狙い通りに稼げていること自体は喜ばしい。
ほとんど公開情報だけを元にして書いた記事だが、それでもこれだけ人が来るということは、こういうことを考える人はそれなりにいてもわざわざ書く人は多分少ないのだろうと思う。
アンカット・シートとか、ソーティングとか、紙製の印刷物であるという側面におけるマジックの工程はどういうわけかなにかわくわくするものがある。それにまつわる話を読んだり、限られた情報からあれこれ想像したりするのは楽しい。この記事も最後の方の図とか作っててとても楽しかった。図自体はばかみたいな代物だけど。


15. 冷めた判断を押し流す——《大会戦/Grand Melee》
ラヴニカへの回帰とギルド門侵犯でギルド門のフレイバーテキストに仕込まれていた「暗号文」の話。その時点では「互いに滅ぼしあう」というところまでしか判明していなかったのでこんな話になっているが、実際は「〜しない限り」と(たぶん unless でつながった)続きの文章があることがわかって、おかげでちょっと間の抜けたエピソードになってしまった。それはそれとして、またラヴニカを訪れることになるのは間違いなさそうだし、それは普通に楽しみではある。


16. 見た目には美しいが——《発光イソギンチャク/Glowing Anemone》
《すがりつくイソギンチャク》を見てやべー久々にイソギンチャクきたよ、とテンション上がって書いた回。前半でトシミツがイカだと思ってたとかいう話をしてるのは単に事実そのままで、おれがほんとにそう思いこんでたのだった。squid が触手っぽい生き物全般を指すと思ってたってのもそう。ところで今気がついたけどすがりつく方は anemones って複数形になってるのな。ていうかイソギンチャクは可算なのか。言葉ってよくわからないことがいっぱいあるな。
タイトルは《すがりつくイソギンチャク》から採りたいところだったけど、悲しいかなフレイバーテキストが無い。幸い発光イソギンチャクの方にはあるので、まあそちらを採用した。
この回は三人称で書いている。トシミツとサキモトの視点だけだとどうしても書けないことがあるし、端的に言って飽きる。ただその代償としてかなり読む人にはわかりづらくなっている。固有名詞を出さないようにしているのが原因のひとつなので、改善しようと思えばできるのだが、こういうところだけ変に元ねたと張り合ってたりする。


17. 重要視するもの——《オルゾフの導き石》
カード名/テキストの誤訳について思うところを詰め込んでみた回。誤訳については少しのうんざりしている人とちょっとの同情している人と大多数のどうでもいいと思っている人とが居ると思うのだけど、世の反応は往々にして極端に振れたもの(それも特にネガティヴなほう)が可視化されがちだ。それは誤訳をする側にとっては不幸なことだけど、それはそれとして誤訳が多すぎたのも事実。
文中にも書いたけど、誤訳をひとつもなくすことは不可能だし、現在の仕組みを大幅に変えない限りこれ以上劇的に減らすこともできない。この声明が出された後はまあ許容できる範囲に収まっていると思うし、これ以上は望めないというものでもあろう。


18. 残った餌食が互いのみ——《似通った生命》
カスレアと構築済みデッキの話。こういう「決して強くないけど何か面白いことができそうなカード」にはマジックの魅力が詰まっていると思うのだけど、その魅力を初心者に伝えるのは難しい、という気はしている。


19. 何も無い眼窩の中から——《群がりの庭》
実に珍しくちゃんとゲームしてるシーンが出てくる。ひとことで言えばトシミツよりサキモトの方が強いということを伝えたいのだけど、肝心の作者が下手なのでほんとに強いことになってるか甚だ自信がない。情けない限りである。


20. 平安という花を摘むのだ——《無視》

21. それとは限らないなら —— 《変態》

22. あいつは無敵だろうよ ——《入り海のイカ》

23. 自分を向上させるためじゃなく——《スゥルタイの隆盛》

24. かつて龍たちが眠りに——《溢れかえる岸辺》

25. さらばブロック構築——no cards with the subtitle.

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