うまくやっていけそうな気がする
2015年9月26日 ポエム「わかったよ、神話レアが 16 種類だった理由」
わたしが言うと、彼はさほど関心もなさそうにうなずいた。関心はなさそうだったが、目はこちらに向けている。
「両面カードがあるからだったんだね」
もう少し詳しく、と彼はそっけなくうながす。
そう言われてもなあ。
わたしは普通に困ってしまう。
大型セットだとほぼ間違いなく、神話レアとレアの種類数は「15」と「53」に固定されている。これはある種の魔法の数字で、レアの出現率は神話レアの2倍だから2倍すると 106 になるのだけど、15+106 = 121 であるからこれがアンカットシート1枚分の枚数と等しくなる。そして、神話レアの封入率は約 1/8 というのを自動的に満たしてもいる。もちろん魔法というのは明らかに大げさで、小型セットであればこれが「10」と「35」になるだけのことだ。簡単な算数と、印刷工程的な制約がもたらす必然にすぎない。
……というようなことを今更彼に説明しても仕方ないからだ。
「えーと、神話レアのうち5枚がプレインズウォーカーで、それは全部両面カードだから、別のアンカットシートに入ることになる。」
わたしはとにかく説明を始める。
そうすると、15:53 はそのまま使うことができなくて、まあいろいろ変えようもあるにはあるんだけど、アンカットシートを綺麗に埋めることと、できるだけ元の数字に近いことを優先すると、両面じゃない方のシートには神話レアを 11 枚と通常レアを 55 枚配置するのが一番収まりがいい。11+55*2 = 121 だから、これでぴったりになる。だから、神話レアの種類は 5+11 で 16 種類になっている。以上。
「なるほどー」
彼はわざとらしくうなずいてみせた。「そうかあ、両面カードかあ」
「でもそう考えてみると、両面カードのアンカットシートは全部プレインズウォーカーなんだね。想像すると中々壮観だよね」
わたしが言うと、彼は急に反応した。「あ、そうか。そりゃ考えなかったな」
「5人分のプレインズウォーカーが 24 セット印刷されてるわけですよ」
それで、神話レア/レアをパックに封入するときは、そのどちらかのシートから入れなければならない。ところがそのように割り付けられているから、アンカットシートの枚数が両面1枚に対して片面が実に 24 枚ということになる。これを均質に混ぜるのはなかなか骨が折れそうだ。
だからもしかすると、オリジンのボックスを開けた人が時々言っているような“プレインズウォーカー箱”みたいな偏りができちゃうのはそういう理由かもしれない。
わたしは言ったが、その部分については彼は懐疑的だった。
うーん、まああり得なくはないけど、普通に理想的に混ざっててもそれなりには偏るでしょ。それに、そういうのってそういう引きをした人はなんか書くし普通の引きだった人はなんにも書かないから、報告される件数は常に多めになると思うよ。
それはそうかも知れないね。わたしはうなずいた。
いやあ、しかしちょっと悔しかったな、これは。
え?
オリジンが最初に発表されたとき、ほら、必ず種類数が出てるだろ、あれ。あのときに 272 種類ってなんか変な数字だなーとは思ったんだよ。普通に数えると、基本土地を 25 種類としてコモンが 99 種類か、基本土地が 20 種類でコモンが 104 か、みたいになっちゃうんだよね。両面カードは予想できないにしても、アンカットシートが違う理由があるぞってとこまでは予想できてしかるべきだった。
笑ってはいけないと思うが、口許に笑みが浮かぶのはおさえられなかった。
……いや、予想できなくていいと思うよ、それは。
--
時系列でいうと今回の話は三回前の「そこを深い溝が縦横に走り」の前にあたります。少し前から書いていたのですが、Zendikar Expeditions の話が出たのでこれは速攻でねたにしなければと思って三回前を書き、Zombie Hunt の話題があったので二回前を書き、という感じでどんどん後回しにされていました。
こういう回だとサブタイトルに困りますね。
--
ちなみにオリジンはコモンが 101 種類、アンコモンが 80 種類、レアが 55 種類、神話レアが 16 種類、基本土地が 20 種類で全 272 種類(MTG wiki の色別内訳から手計算で合算した)。レアと神話レア以外は大型セットでごく一般的に見られる数字。
わたしが言うと、彼はさほど関心もなさそうにうなずいた。関心はなさそうだったが、目はこちらに向けている。
「両面カードがあるからだったんだね」
もう少し詳しく、と彼はそっけなくうながす。
そう言われてもなあ。
わたしは普通に困ってしまう。
大型セットだとほぼ間違いなく、神話レアとレアの種類数は「15」と「53」に固定されている。これはある種の魔法の数字で、レアの出現率は神話レアの2倍だから2倍すると 106 になるのだけど、15+106 = 121 であるからこれがアンカットシート1枚分の枚数と等しくなる。そして、神話レアの封入率は約 1/8 というのを自動的に満たしてもいる。もちろん魔法というのは明らかに大げさで、小型セットであればこれが「10」と「35」になるだけのことだ。簡単な算数と、印刷工程的な制約がもたらす必然にすぎない。
……というようなことを今更彼に説明しても仕方ないからだ。
「えーと、神話レアのうち5枚がプレインズウォーカーで、それは全部両面カードだから、別のアンカットシートに入ることになる。」
わたしはとにかく説明を始める。
そうすると、15:53 はそのまま使うことができなくて、まあいろいろ変えようもあるにはあるんだけど、アンカットシートを綺麗に埋めることと、できるだけ元の数字に近いことを優先すると、両面じゃない方のシートには神話レアを 11 枚と通常レアを 55 枚配置するのが一番収まりがいい。11+55*2 = 121 だから、これでぴったりになる。だから、神話レアの種類は 5+11 で 16 種類になっている。以上。
「なるほどー」
彼はわざとらしくうなずいてみせた。「そうかあ、両面カードかあ」
「でもそう考えてみると、両面カードのアンカットシートは全部プレインズウォーカーなんだね。想像すると中々壮観だよね」
わたしが言うと、彼は急に反応した。「あ、そうか。そりゃ考えなかったな」
「5人分のプレインズウォーカーが 24 セット印刷されてるわけですよ」
それで、神話レア/レアをパックに封入するときは、そのどちらかのシートから入れなければならない。ところがそのように割り付けられているから、アンカットシートの枚数が両面1枚に対して片面が実に 24 枚ということになる。これを均質に混ぜるのはなかなか骨が折れそうだ。
だからもしかすると、オリジンのボックスを開けた人が時々言っているような“プレインズウォーカー箱”みたいな偏りができちゃうのはそういう理由かもしれない。
わたしは言ったが、その部分については彼は懐疑的だった。
うーん、まああり得なくはないけど、普通に理想的に混ざっててもそれなりには偏るでしょ。それに、そういうのってそういう引きをした人はなんか書くし普通の引きだった人はなんにも書かないから、報告される件数は常に多めになると思うよ。
それはそうかも知れないね。わたしはうなずいた。
いやあ、しかしちょっと悔しかったな、これは。
え?
オリジンが最初に発表されたとき、ほら、必ず種類数が出てるだろ、あれ。あのときに 272 種類ってなんか変な数字だなーとは思ったんだよ。普通に数えると、基本土地を 25 種類としてコモンが 99 種類か、基本土地が 20 種類でコモンが 104 か、みたいになっちゃうんだよね。両面カードは予想できないにしても、アンカットシートが違う理由があるぞってとこまでは予想できてしかるべきだった。
笑ってはいけないと思うが、口許に笑みが浮かぶのはおさえられなかった。
……いや、予想できなくていいと思うよ、それは。
--
時系列でいうと今回の話は三回前の「そこを深い溝が縦横に走り」の前にあたります。少し前から書いていたのですが、Zendikar Expeditions の話が出たのでこれは速攻でねたにしなければと思って三回前を書き、Zombie Hunt の話題があったので二回前を書き、という感じでどんどん後回しにされていました。
こういう回だとサブタイトルに困りますね。
--
ちなみにオリジンはコモンが 101 種類、アンコモンが 80 種類、レアが 55 種類、神話レアが 16 種類、基本土地が 20 種類で全 272 種類(MTG wiki の色別内訳から手計算で合算した)。レアと神話レア以外は大型セットでごく一般的に見られる数字。
コメント