おなじみコンバットの話。この話は3年おきに浮上することになっているのでそろそろ出番ではあった(前回は2011年)。

http://right7.diarynote.jp/201408252234336818/
GP神戸 -- らいとの予定調和
この話はコメント欄を読む限りでは対戦相手がそれまでのターンと違う意味で「コンバット」という言葉を使ってきたという話らしいので、そうだとすればおたがいの意志疎通のミスというレイヤーになるのだけど、
「"コンバット"や"戦闘"など簡略化した発言で優先権を渡して相手も優先権を放棄した場合には、攻撃クリーチャー指定ステップに入らなければならない、と自分は認識してるのですが。」

これはまさにおなじみコンバット問題であって、これこそがミスコミュニケイションの起点になってしまっていると毎度ながら感じる。そして、この件に関して現在飛ぶ鳥を落とす勢いのプロプレイヤーが

http://serraavatar2020.diarynote.jp/201409050150527700/
【MTG】「コンバット!!」【雑記】 -- 助けて!!テンマ!!俺のセラのアバターがどんどんおっきくなるよ!!
これはマジック・イベント規定に記されているようなのでつまり
・「コンバット!!」という宣言は、メイン1に優先権を放棄する≒ビギンコンバットフェイズに移行したい
というニュアンスでは伝わらないと言うことです。勉強になったね!

と日記に書くのは、ああ……、という感は否めない。
一応書いておくと書かれていること自体は現在の日本語版イベント規定に書かれている通りなので、その意味では正しい。

前回も感じたのだが、やはり「マジック・イベント規定」の日本語訳(http://mjmj.info/data/JPN_MTR_20140718.html)に問題の一端があると思える。
自分のターンの戦闘前に、「戦闘」「攻撃」などの単語を使った「戦闘入ります」などの宣言をした場合、非アクティブ・プレイヤーが止めない限り、戦闘開始ステップにアクティブ・プレイヤーがパスした、ということを意味する。非アクティブ・プレイヤーは望むならその時点までの任意の時点でパスを中断し、何か行動することができる。

ちなみに原文はこう。http://wpn.wizards.com/sites/wpn/files/attachements/mtg_mtr_en.pdf
A statement such as "I’m ready for combat" or "Declare attackers?" offers to keep passing priority until an opponent has priority in the beginning of combat step. Opponents are assumed to be acting then unless they specify otherwise.


訳が問題であることは 2008 年に arthfing 氏によって指摘されている(http://bastermtg.blog.fc2.com/?no=306)。
「I’m ready for combat」→「戦闘入ります」
「Declare attackers?」→「攻撃クリーチャー選んでいい?」
とあった。
問題の「戦闘入ります」の原文を直訳すれば、「私はもう戦闘する準備ができてるよ」となり、戦闘までにやる事はもうないという、まさにクリーチャー指定まで手順を省略する意味合いを持つ。
ここに「戦闘」か「戦闘フェイズ」か、用語の齟齬が生じる余地はない。

これに同意する。I’m ready for combat に比すると「戦闘入ります」「コンバット入ります」は大いに曖昧で、ミスコミュニケイションを招く言い回しだ。この例示の訳を改めることはできないだろうか。
あと一応書いておくと、原文と他言語版に齟齬が生じている場合には原文に従うこと、というのがマジック違反処置指針に書かれていて、明記はされていないけどイベント規定でも同じように運用されるべきではあると思う。
……このあたりのことも、arthfing 氏が 2011 年に書いている。(http://bastermtg.blog.fc2.com/?no=883

かくのごとく、6年前と3年前に通った道をまた通っているわけだけど、古い道というのは忘れられがちなものだし、常に新しい人は流入し続けているのだから、道はその都度確かめていくしかない。縮小再生産みたいなエントリを書いているのはそのためで、他意は無い。
この話が出ると、毎度「コミュニケイションしっかりとろうね」という結論で終わってしまって、その結論は完全に正しいし大事なことなんだけど、どうしてこの道に何度も踏み込んでしまうのか、そこを意識する人が少ないように思えるのがもどかしい。
とか書いていても仕方ないので、今回は米村氏にメールを出してみることにする。

あとは3年前にあおば氏が書いたこの記事が過不足なく問題点を伝えてくれていると思うので、リンクを張って終わりにする。
http://80478.diarynote.jp/201102092339563544/
本職のジャッジって裁定の理由についてはあまり喋らないらしいね。似たような状況で利用されるから。 -- プレイミス廃絶宣言 縮小版

追記(2014-09-07):
米村氏に早速丁寧な返信を頂いた。内容は書かないが、日本語訳の変更の必要を認めないということを理由と共に説明してくださった。このような事例があった上でそうおっしゃるのであれば必要はないのだろう。自分はこれ以上は何もしない。

追記(2015-11-18):
「pt. 2」とあるように、この記事には 2011 年に書かれた前編がある。内容はこの記事とかなりかぶるが、興味がある方は読まれたし。
http://d.hatena.ne.jp/natroun/20110128#p1
コンバット入りまくり

あと、この記事もご覧になるとよい。
http://74598.diarynote.jp/201009012200433381/
A foul move. -- closet belief 2

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