それとは限らないなら
2014年1月20日 ポエム「《メタモルフォーゼ》と《変態》がかぶってるみたい」
わたしはツイッター(http://twitter.com/yktn121162/status/421403072846233600)で得たばかりの知識を披露した。彼は最初きょとんとしたが、すぐに何の話か飲み込んだようで、一瞬考えてから応じた。
メタモルフォーゼか。なんか食物連鎖のご先祖様みたいな奴だよね。
そう。今見るとびっくりするほど弱い。
フレイバーはわからないでもないのだが、メカニズムはあまり深く考えないでデザインされたと思われる。この呪文に1マナ払っているのに余計に出るのも1マナだけ。確かマジックの駄目カード 100 選みたいな記事でもランクインしていて「次のターンに土地1枚置いて素出ししたんじゃ駄目なの?」みたいなことを書かれていた。その記事ではインスタントにして出るマナもその場で使えるようにすればいい、という改善案が出ていたけど、あまりセンスがいいとは思えなかった。
変態ってどういうカードだったっけ。対戦相手にしか打てなかったってことしか憶えてない。
なんかバウンスとただ出しを組み合わせたような効果だったと思う。
わたしは我ながらひどい説明だと思いながらスマートフォンの画面にオラクルを表示させた。
彼はしばらく黙ってテキストをじっと見ていたが、首を横に振りながら言った。ひでえなこりゃ。相手の手札が弱ければ弱いほど強いけど、そんなのわかりっこないし、バウンスした奴はどうせ引かれちゃうから根本的な対処にはならないし。一番強くても2マナの《時間の泉》だもんな。カードとしてのひどさはいい勝負なんじゃないの。
確かに、刷られてからこれほど時間が経つのに使い途が見つからないカードというのは現時点ではどうしようもないカードとしか評価できない。シナジーがあるカードが新たに刷られる可能性は常に存在するが、このカードの場合原理的にシナジーがあるカードというのが存在し得ないようにも思える。
「これ最初のを《メタモルフォーゼ》って訳したのも結構勇気あるというか、なんか頑張りすぎちゃった感じだよね」
「一般的にはどう訳すんだろうね、metamorphosis」
というわけでネットの英和辞典で metamorphosis を引いてみる。これもまあヒマのなせる業。
「この、かっこ魔力・超自然力による、っていうのがいいね」
わたしが言うと彼も肯いた。ちゃんと魔力ってのが入ってるんだな。
変形、変質、変容、変態……か。どれでもよかったような気がするけど、なんでメタモルフォーゼにしたんだろう。
ふつうの二字熟語じゃ大人しすぎると思ったのかもね。個人的には、どっちの単語の訳としてもメタモルフォーゼが適切とは思えない。どっちかっていうと英語名が似すぎてるんだと思うよ。名詞と動詞が違うだけで実質的に同じ単語なんだもん。そりゃ訳もかぶるよ。
確かにそれはその通りだった。それも昔のカードならともかく、スカージぐらいまで時代が下れば似通ったカード名が厄介事を引き起こすことは充分判っていただろう。その上でなお、あんな微妙な効果のカードにこんなめんどくさいカード名をつけるなんて正気とは思えなかった。
じゃあ、名前つけた人がギルティ。
ギルティ言うな。
即座に言い返されてわたしは笑ってしまった。
そうだ、聞こうと思ってたんだけど、
急に彼が言って、急に止めた。
「……なに?」
「いや、なんでもない」
その表情はわずかに硬かったが、それ以上のものはわたしにはなにも読みとれなかった。
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カードのデータは Wisdom Guild/Whisper Card Database さんからの引用です。
わたしはツイッター(http://twitter.com/yktn121162/status/421403072846233600)で得たばかりの知識を披露した。彼は最初きょとんとしたが、すぐに何の話か飲み込んだようで、一瞬考えてから応じた。
メタモルフォーゼか。なんか食物連鎖のご先祖様みたいな奴だよね。
そう。今見るとびっくりするほど弱い。
メタモルフォーゼ/Metamorphosis (緑)
ソーサリー CHR, コモン3
メタモルフォーゼを唱えるための追加コストとして、クリーチャーを1体生け贄に捧げる。
あなたのマナ・プールに、好きな色1色のマナX点を加える。Xは生け贄に捧げられたクリーチャーの点数で見たマナ・コストに1を加えた点数である。このマナは、クリーチャー呪文を唱えるためにしか支払えない。
フレイバーはわからないでもないのだが、メカニズムはあまり深く考えないでデザインされたと思われる。この呪文に1マナ払っているのに余計に出るのも1マナだけ。確かマジックの駄目カード 100 選みたいな記事でもランクインしていて「次のターンに土地1枚置いて素出ししたんじゃ駄目なの?」みたいなことを書かれていた。その記事ではインスタントにして出るマナもその場で使えるようにすればいい、という改善案が出ていたけど、あまりセンスがいいとは思えなかった。
変態ってどういうカードだったっけ。対戦相手にしか打てなかったってことしか憶えてない。
なんかバウンスとただ出しを組み合わせたような効果だったと思う。
わたしは我ながらひどい説明だと思いながらスマートフォンの画面にオラクルを表示させた。
変態/Metamorphose (1)(青)
インスタント SCG, アンコモン
対戦相手がコントロールするパーマネント1つを対象とし、それをオーナーのライブラリーの一番上に置く。その対戦相手は、手札からアーティファクト・カードかクリーチャー・カードかエンチャント・カードか土地カードを1枚戦場に出してもよい。
彼はしばらく黙ってテキストをじっと見ていたが、首を横に振りながら言った。ひでえなこりゃ。相手の手札が弱ければ弱いほど強いけど、そんなのわかりっこないし、バウンスした奴はどうせ引かれちゃうから根本的な対処にはならないし。一番強くても2マナの《時間の泉》だもんな。カードとしてのひどさはいい勝負なんじゃないの。
確かに、刷られてからこれほど時間が経つのに使い途が見つからないカードというのは現時点ではどうしようもないカードとしか評価できない。シナジーがあるカードが新たに刷られる可能性は常に存在するが、このカードの場合原理的にシナジーがあるカードというのが存在し得ないようにも思える。
「これ最初のを《メタモルフォーゼ》って訳したのも結構勇気あるというか、なんか頑張りすぎちゃった感じだよね」
「一般的にはどう訳すんだろうね、metamorphosis」
というわけでネットの英和辞典で metamorphosis を引いてみる。これもまあヒマのなせる業。
metamorphosis (《複数形》 音節 -pho・ses 発音記号/-si:z/)
【名詞】(魔力・超自然力による)変形(作用); 変質,変容; 変態 〔into〕.
「この、かっこ魔力・超自然力による、っていうのがいいね」
わたしが言うと彼も肯いた。ちゃんと魔力ってのが入ってるんだな。
変形、変質、変容、変態……か。どれでもよかったような気がするけど、なんでメタモルフォーゼにしたんだろう。
ふつうの二字熟語じゃ大人しすぎると思ったのかもね。個人的には、どっちの単語の訳としてもメタモルフォーゼが適切とは思えない。どっちかっていうと英語名が似すぎてるんだと思うよ。名詞と動詞が違うだけで実質的に同じ単語なんだもん。そりゃ訳もかぶるよ。
確かにそれはその通りだった。それも昔のカードならともかく、スカージぐらいまで時代が下れば似通ったカード名が厄介事を引き起こすことは充分判っていただろう。その上でなお、あんな微妙な効果のカードにこんなめんどくさいカード名をつけるなんて正気とは思えなかった。
じゃあ、名前つけた人がギルティ。
ギルティ言うな。
即座に言い返されてわたしは笑ってしまった。
そうだ、聞こうと思ってたんだけど、
急に彼が言って、急に止めた。
「……なに?」
「いや、なんでもない」
その表情はわずかに硬かったが、それ以上のものはわたしにはなにも読みとれなかった。
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カードのデータは Wisdom Guild/Whisper Card Database さんからの引用です。
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