《遥か見》のフレイバーテキストの件、つづき。

先日のエントリを書く際に思い出してあいしゃさんの記事
【翻訳】大都市生活【ラヴニカ】: レイモス信者の日記 埼玉編
http://aisha.blog.so-net.ne.jp/2012-04-22
を思い出して読んでいたところ、途中にまさに《遥か見》のフレイバーテキストが登場した。ところがそこでの訳がこうなっていた。
この都市は本当に巨大なんだろう。あちこちを旅して様々な物を見てきたけれど、建物が崩れている場所は見たことがないよ。

これは前回のどちらとも違う訳だ(前の文がラヴニカ版と同じで、後の文が M13 と同じ)。ではあいしゃさんがご自分で訳したのか、と思いコメント欄で訊いてみたところ、単に
http://magiccards.info/rav/jp/163.html
から引用しただけだとおっしゃる。リンク先を見ると確かにこのような訳になっている。さらに不思議に思い gatherer で見てみる。と。
http://gatherer.wizards.com/Pages/Card/Details.aspx?printed=true&multiverseid=112594
上の訳がそのまま出てくるではないか。つまり刷られているカードとデータベース内で文章が違ってしまっているのだ。もしかすると土壇場でなんらかの差替えがあって、印刷所に行くデータとデータベースに格納するデータが違うものになってしまったりしたのかな、などと想像するが、事情はさておきこのようなことがあるのだとわかったのはちょっと面白い。逆に言うと、古いカードのフレイバーテキストを調べようとする時などはちょっと気をつけなければならないかなとも思う。ちなみに《遥か見》に関しては、Whisper Card Data Base には印刷されたものと同じフレイバーテキストが収録されていた。(ということは Whisper では手入力してるのか……とかまた要らぬ想像がふくらむが今日のところはここまで)


《外科的摘出》で墓地のカードを追放するのは任意で、追放すると言わなかったためにそのゲームに負けた、という話を最近読んだ。
別のところで、《外科的摘出》で墓地のカードを見つけないことができる、公開領域のカードを「見つかりませんでした」できるとは知らなかった、という記述を見かけた。多分それは誤解だと思い、まずカード・テキストを調べてみた。
外科的摘出/Surgical Extraction
(黒/Φ)
インスタント
いずれかの墓地にある基本土地カードでないカード1枚を対象として選ぶ。それのオーナーの墓地と手札とライブラリーから、そのカードと同じ名前のカードを望む枚数だけ探し、それらを追放する。その後、そのプレイヤーは自分のライブラリーを切り直す。

《外科的摘出》はこの通り「望む枚数だけ探」す効果であるから、たとえば0枚でもいい。つまり探さないことを選べることになる。
……とここまで考えてから、0枚探す場合例えばライブラリは見られるんだろうか、と考えてしまった。逆に、探す心算でライブラリを見た場合、見つけられなかったら他の領域で必ず見つけなければいけないだろうか? なんてことを考えてしまった。
わからなくなったので、今度は総合ルールを見てみる。
701.15. 探す/Search

701.15a カードをある領域から探すとは、その領域にあるすべてのカードを見て(非公開領域であっても)、条件に合うカードを見つけるということを意味する。

「調べて、見つける」までがマジック用語で言う「探す」なのだ。考えてみると、全部見てみるまではあるかないかもわからないわけだから、「1枚探します」などと事前に言える筈がない。探すことを試みて、最終的に何枚見つけたかで初めて何枚探したが決まるわけだ。
701.15b 特定のカード・タイプ、色などの何らかの条件を満たすカードを非公開領域から探す必要がある場合、存在してもそのすべてを見つける必要はない。

例:プレイヤーが「アーティファクト1つを対象とし、それを追放する。それのコントローラーの墓地と手札とライブラリーから、そのアーティファクトと同じカード名を持つカードをすべて探し、それらを追放する。その後、そのプレイヤーは自分のライブラリーを切り直す。」という効果を持つ《木っ端みじん》を唱え、対象として《吠えたける鉱山》を選んだ。《吠えたける鉱山》のコントローラーの墓地にはもう1枚の《吠えたける鉱山》があり、ライブラリーにはあと2枚《吠えたける鉱山》がある。《木っ端みじん》のコントローラーは墓地にある《吠えたける鉱山》を無視することはできないが、ライブラリーの中にある《吠えたける鉱山》は2枚とも見つけても、1枚だけでも、見つけなくてもよい。

一方でこのような例が書かれている。つまり一般的には、非公開領域以外の領域にある、条件を満たすカードは「見つけない」ことができない。冒頭で見た記述はやはり誤解だ。
最後に gatherer でルーリングを確認しておく。
http://gatherer.wizards.com/Pages/Card/Details.aspx?printed=true&multiverseid=233041
"Any number of cards" means just that. If you wish, you can choose to leave some or all of the cards with the same name as the targeted card, including that card, in the zone they’re in.

訳:「望む枚数だけ」というのはつまり以下の通り。もし望むなら、対象となったカードと同じ名前のカードを一部もしくは全て、対象となったカード自身も含めて、追放せずに元の領域にそのまま残してもよい。
なるほど、確かにこのテキストだと対象自身も含めて残すことができる。逆に言うと、対象にとったカードですら、追放することを選択しなければ追放せずに解決されてしまうということだ。同種の、あるいは似た効果のカード(《頭蓋の摘出》《記憶殺し》《根絶》)などはどれも全て追放するというテキストを持っているので、ますます注意しなければならない。直感的な挙動に反しているので、その意味では微妙に筋の悪いデザインであるようにも思う。

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