ほんやく!ネット☆ランナー
2012年5月30日 翻訳本ブログ開闢以来の誰得翻訳。往年の名作 CCG『Netrunner』が復刻されるという嬉しいニュースが入ってきたので訳してみた。あ、つまりマジック・ザ・ギャザリングの記事ですらありません。
Netrunner はリチャード・ガーフィールド博士がマジックの次次の次(これずっと勘違いしてました。マジックの次は『V:tE』で、その次が Netrunner です。2012-07-19 修正)にデザインした CCG で、TRPG『サイバーパンク2.0.2.0.』の世界を下敷きにした巨大企業と一匹狼のランナーの電脳戦を題材としている。企業側とランナー側では勝利条件も使うカードも異なる非対称性が特徴で、ソリッドなビジュアルデザインと薄汚いサイバーパンクフレイバーも独特の味わいがあった。
デッキ構築において同名カードの枚数制限がなく、にもかかわらず3年にわたるゲーム史上で禁止カードをわずか2枚しか出さなかった神がかり的なバランスは半ば伝説化している。リソース変換の自由度がきわめて高いことと不確定情報が多いこととでプレイングの難度は高い。
1996 年にウィザーズ・オヴ・ザ・コースト社から「DECKMASTER」シリーズの一作として基本セット発売、同年に最初のエクスパンション『PROTEUS』がリリース、1999 年に小型エクスパンション『CLASSIC』がリリースされるも、直後にサポートが停止された。
長くなったけど、以下訳文。
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原文:Fantasy Flight Games [News] - Announcing Android: Netrunner
http://www.fantasyflightgames.com/edge_news.asp?eidn=3272
『Android: Netrunner』
あの名作カードゲームが、舞台を『Android』世界に移して大復活!
《豆の木》のふもと、ニュー・アンジェルスへようこそ。この人類の英知の記念碑におかれた支社から、私たち NBN はあなたにとびっきりの番組をお届けできることを誇りに思います。完全リアルタイムの包括的ストリーミングで音楽、3D、ニュースにシットコム、クラシック映画にセンシイまでなんでもお送りします。私たちの得意分野はすべてです。今こそが素晴らしい新世紀であり、人類は宇宙へ進出し、驚嘆すべき未来へ向けての新たな進歩が毎日刻まれています。NBN と協力企業とはその進歩と共に歩み続けて、みなさまにふさわしい映像をお送りし続けています。
ファンタジー・フライト・ゲームズは来るべき『Android: Netrunner』の発売を発表できることを大変嬉しく思っています! このゲームの原作はリチャード・ガーフィールドがデザインして 1996 年に発売された『Netrunner』で、数ある CCG の中でも最高水準の作品のひとつだと広く見なされています。『Android: Netrunner』の発売によって、プレイヤーたちはかの名作の興奮をふたたび体験することができるでしょう……あるいは、初めて味わうプレイヤーも多いかも知れません。
『Android: Netrunner』は、二人用のリヴィング・カード・ゲーム(*1)で、非対称のシステムが特徴です。『Android』(*2)で描かれた近未来のサイバーパンク世界を舞台に、本作では巨大企業とその莫大なリソースに対して自らの才能だけを頼りに立ち向かう反体制の孤独なランナーたちの戦いが題材になっています。企業(コーポ)側のプレイヤーは自分たちの事業計画を進展させることでポイントを得ることができます。一方、ネットランナー側のプレイヤーは、企業側の防御網をくぐり抜けて金になるデータを盗み出すことでポイントを得ます。7ポイントを先取したプレイヤーが勝者となります。それまでに悪評(コーポ側)や脳へのダメージ(ランナー側)で致命傷を負わなければ、の話ですが。
明るい未来を築こう
視覚企業による人類の経験向上をめざすたゆまぬ努力によって、ひとびとは日々その恩恵を受けています。人類は太陽系を股にかけて、他の天体への植民を進め、度合いの差こそあれ成功しつつあります。月と火星は植民地化され、火星についてはテラフォーミングの計画が進んでいます。地球では大規模な軌道エレベーターが外気圏まで到達し、その終点には月やその他太陽系各所への旅行の際に拠点となるハブ宇宙港がもうけられています。そこは宇宙貿易の一大中心地でもあり、ひとびとはそこを“豆の木”の名で呼んでいます。
企業によるコンピューターの進歩と神経生理学分野におけるいくつかの発見は今やブレイン・マッピングを可能にしました。すなわち、人間の精神を電気信号として記録できるようにし、またしかるべき精神−機械インターフェイスへの接続を可能にしたのです。マウスとキーボードは過去の遺物となり、ジェスチャー・インターフェイスと非実体ディスプレイが当たり前のものになっています。人類の知性は不死に手が届くところまできています。遺伝学者、病理学者、その他の分野の学者たちによって、物理的な不死にすらたどり着こうとしているのです。
……巨大企業を信用するなよ……
ぜんぶ嘘だ。あんたが知ってると思ってることはぜんぶ嘘だ。それは企業があんたに考えさせたり見させたり聞かせたりしたいと思ってる通りのものなんだよ。もし真実を知りたければ、ファイアーウォールや、セントリー、バリアー、ついでにそこら中にはびこってるメディアのくだらないおしゃべりなんかを全部ぶち破らなきゃならない。巨大企業ってのは夢と希望の上に成り立ってるわけじゃないんだ。奴らはクレジットや嘘っぱちや、自力で立つこともできないちっぽけな連中の血と汗の上にあぐらをかいてるんだよ。奴らは自分たちのメッセージの説得力を保つために必要だと思えばいつでも誰でも殺すし、そうやって守ったメッセージをブロードキャスト・スクエアから外宇宙に向かって流し続ける。真実を求めてる? ランナーに訊いてみろよ。奴らはおれたちを犯罪者呼ばわりするし、まあそりゃその通りなんだけど、それは奴らが法に従ってるからじゃないんだぜ。奴らが法を作ってるからなんだ。奴らが現実を作ってるからなんだ。だけど、奴らがどんなものを作れると思ってようと、おれはそれをずたずたにすることができる。これだけがたったひとつの真実だ。ネットワークはどこにでもはりめぐらされてる。全てのものはネットにある。あんたの銀行口座も、あんたの購買履歴も、あんたの大好きな番組も、あんたの汚い洗濯物も。充分に深く潜って、充分に速く走れば、あらゆるものを見つけることができるし、誰にだってなれる……
アイスを壊せ
『Android: Netrunner』の非対称なゲームシステムは、コーポ側とランナー側で全く違った体験をもたらしてくれます。でもどちらであっても、プレイヤーは経験したことがないほどのゲームの流れの移り変わりを感じることでしょう。ゲームが開始した瞬間からプレイヤーには緊張が走り、各ターンのアクションをいかに巧く使って相手を出し抜くかに集中します。はったりを駆使して、リスクを計算し、損失を覚悟しつつ、短い時間で、限られた不完全な情報をもとに、プレイヤーは決断を下さなければなりません。
そして、プレイヤーたちは4つの巨大企業(ハアス−バイオロイド、ジンテキ、ウェイランド・コンソーシアム、NBN)と3つのランナーのクラス(アナーキー、クリミナル、シェイパー)を通してフレイバーに満ちた世界を味わうことができるでしょう。これら7つの陣営はいずれも『Android』世界の設定に基づいた個性的な特徴を持っていて、ゲームをより豊かなものにしています。
未来を切り開け
未来はここにあります。巨大企業とネットランナーが、現実を巡って争うのです。『Android: Netrunner』は 2012 年第3四半期のリリースを予定しています。もっと知りたい人は、製品情報ページをどうぞ!
『Android: Netrunner』はリチャード・ガーフィールドによってデザインされた古典カードゲームを基に作られた二人用のカードゲームで、『Android』に登場するディストピア的未来を舞台にしています。画一主義的巨大企業と孤独なネットランナーが、金になるデータをめぐって生きるか死ぬかの死闘を演じます。
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(*1) リヴィング・カード・ゲーム
Living Card Game、以下 LCG。いずれも Fantasy Flight Publishing 社の登録商標となっている。ひとことで言えば「ランダム性を排除した CCG」のようなものか。まず基本セットがあって、その後毎月エクスパンションを発売していくのだが、その内容は全部決まっている。その中からフォーマットにしたがってデッキを組んで対戦する、というのは旧来の CCG と同じ。プレイヤーの投資額が少なくて済む分参入障壁が低く、それでいてスタンドアロンのゲームとは違いカードプールが広がることによるダイナミズムも楽しめる、というシステム。らしい。メーカーとしては、CCG に比するとローリスクローリターン。
参考:Fantasy Flight Games [Living Card Games - About]
http://www.fantasyflightgames.com/edge_npm_sec.asp?eidm=14&esem=1
(*2)『Android』
Fantasy Flight Games がリリースしたボードゲーム。本文に出てきたニュー・アンジェルスと《豆の木》を舞台に、殺人事件の捜査をするゲームみたい。闇の隆盛までマジックのカードの和訳をつとめてらした進藤「みらこー」欣也氏がルールブックの私訳を作ってらっしゃって、それを読んで得た知識がおれのこのゲームに関して知るすべてなので詳しく知りたい人はそちらをご覧になってください。
奇跡家分館 -- 和訳ルールの部屋
http://logicwolf.sakura.ne.jp/kisekiya/translation/index.html
以下思いついたことなど。
・旧 Netrunner(以下「原作」とす)ではサイバーパンク 2.0.2.0. がベースになっていたけど今作では違うので、原作に登場する固有名詞は全て置き換わる、筈。
・本文中に差し挟まれている画像が実際のカードと思われるが、固有名詞を抜きにしても原作にあったカードは一枚もない。わざわざ全部変える必要もないし少なくとも機能的には残るカードも多いだろうが、まるっきり新しいカードも入るということなのだろう。
・《Adonis Campaign》あたりはリミテッド向きのカードパワーのようにも思われるが、LCG には原理上リミテッドが存在しない筈で、そこはちょっと気になるところ。リミテッド用のルールを作るのか、あるいはこれでも構築に届くのか。まあ全体のカードプール見ないとカードパワーのレベルは判断しようがないか。
・原作が出た頃は多分それほど気にならなかった筈だが、流石に『ニューロマンサー』からですら 28 年、サイバーパンクそのものがもはや完全に「来なかった未来」になっているのは否めず、訳していると future って単語が頻繁に出てくるのにとにかくひたすら懐かしい感じがした。自分は原作もちょっとだけやってたし復刻だということを知っているからこれはこれで、と思うが、若い人が初めて触れたらどんな風に感じるんだろう、というのはちょっと思った。余計なお世話だが。
・経済的/環境的理由で自分はたぶん買わないと思うが、もしここを読んでて SF 好き、かつ遊ぶ相手が周りにいる人は是非コアセットだけでも買ってみてほしい。原作通りのバランスなら面白さは保証する。
いつも通り、誤訳の指摘は歓迎します。「自分ならこう訳す」みたいなことでもいいです。コメント欄までお願いします。
Netrunner はリチャード・ガーフィールド博士がマジックの
デッキ構築において同名カードの枚数制限がなく、にもかかわらず3年にわたるゲーム史上で禁止カードをわずか2枚しか出さなかった神がかり的なバランスは半ば伝説化している。リソース変換の自由度がきわめて高いことと不確定情報が多いこととでプレイングの難度は高い。
1996 年にウィザーズ・オヴ・ザ・コースト社から「DECKMASTER」シリーズの一作として基本セット発売、同年に最初のエクスパンション『PROTEUS』がリリース、1999 年に小型エクスパンション『CLASSIC』がリリースされるも、直後にサポートが停止された。
長くなったけど、以下訳文。
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原文:Fantasy Flight Games [News] - Announcing Android: Netrunner
http://www.fantasyflightgames.com/edge_news.asp?eidn=3272
『Android: Netrunner』
あの名作カードゲームが、舞台を『Android』世界に移して大復活!
《豆の木》のふもと、ニュー・アンジェルスへようこそ。この人類の英知の記念碑におかれた支社から、私たち NBN はあなたにとびっきりの番組をお届けできることを誇りに思います。完全リアルタイムの包括的ストリーミングで音楽、3D、ニュースにシットコム、クラシック映画にセンシイまでなんでもお送りします。私たちの得意分野はすべてです。今こそが素晴らしい新世紀であり、人類は宇宙へ進出し、驚嘆すべき未来へ向けての新たな進歩が毎日刻まれています。NBN と協力企業とはその進歩と共に歩み続けて、みなさまにふさわしい映像をお送りし続けています。
ファンタジー・フライト・ゲームズは来るべき『Android: Netrunner』の発売を発表できることを大変嬉しく思っています! このゲームの原作はリチャード・ガーフィールドがデザインして 1996 年に発売された『Netrunner』で、数ある CCG の中でも最高水準の作品のひとつだと広く見なされています。『Android: Netrunner』の発売によって、プレイヤーたちはかの名作の興奮をふたたび体験することができるでしょう……あるいは、初めて味わうプレイヤーも多いかも知れません。
『Android: Netrunner』は、二人用のリヴィング・カード・ゲーム(*1)で、非対称のシステムが特徴です。『Android』(*2)で描かれた近未来のサイバーパンク世界を舞台に、本作では巨大企業とその莫大なリソースに対して自らの才能だけを頼りに立ち向かう反体制の孤独なランナーたちの戦いが題材になっています。企業(コーポ)側のプレイヤーは自分たちの事業計画を進展させることでポイントを得ることができます。一方、ネットランナー側のプレイヤーは、企業側の防御網をくぐり抜けて金になるデータを盗み出すことでポイントを得ます。7ポイントを先取したプレイヤーが勝者となります。それまでに悪評(コーポ側)や脳へのダメージ(ランナー側)で致命傷を負わなければ、の話ですが。
明るい未来を築こう
視覚企業による人類の経験向上をめざすたゆまぬ努力によって、ひとびとは日々その恩恵を受けています。人類は太陽系を股にかけて、他の天体への植民を進め、度合いの差こそあれ成功しつつあります。月と火星は植民地化され、火星についてはテラフォーミングの計画が進んでいます。地球では大規模な軌道エレベーターが外気圏まで到達し、その終点には月やその他太陽系各所への旅行の際に拠点となるハブ宇宙港がもうけられています。そこは宇宙貿易の一大中心地でもあり、ひとびとはそこを“豆の木”の名で呼んでいます。
企業によるコンピューターの進歩と神経生理学分野におけるいくつかの発見は今やブレイン・マッピングを可能にしました。すなわち、人間の精神を電気信号として記録できるようにし、またしかるべき精神−機械インターフェイスへの接続を可能にしたのです。マウスとキーボードは過去の遺物となり、ジェスチャー・インターフェイスと非実体ディスプレイが当たり前のものになっています。人類の知性は不死に手が届くところまできています。遺伝学者、病理学者、その他の分野の学者たちによって、物理的な不死にすらたどり着こうとしているのです。
……巨大企業を信用するなよ……
ぜんぶ嘘だ。あんたが知ってると思ってることはぜんぶ嘘だ。それは企業があんたに考えさせたり見させたり聞かせたりしたいと思ってる通りのものなんだよ。もし真実を知りたければ、ファイアーウォールや、セントリー、バリアー、ついでにそこら中にはびこってるメディアのくだらないおしゃべりなんかを全部ぶち破らなきゃならない。巨大企業ってのは夢と希望の上に成り立ってるわけじゃないんだ。奴らはクレジットや嘘っぱちや、自力で立つこともできないちっぽけな連中の血と汗の上にあぐらをかいてるんだよ。奴らは自分たちのメッセージの説得力を保つために必要だと思えばいつでも誰でも殺すし、そうやって守ったメッセージをブロードキャスト・スクエアから外宇宙に向かって流し続ける。真実を求めてる? ランナーに訊いてみろよ。奴らはおれたちを犯罪者呼ばわりするし、まあそりゃその通りなんだけど、それは奴らが法に従ってるからじゃないんだぜ。奴らが法を作ってるからなんだ。奴らが現実を作ってるからなんだ。だけど、奴らがどんなものを作れると思ってようと、おれはそれをずたずたにすることができる。これだけがたったひとつの真実だ。ネットワークはどこにでもはりめぐらされてる。全てのものはネットにある。あんたの銀行口座も、あんたの購買履歴も、あんたの大好きな番組も、あんたの汚い洗濯物も。充分に深く潜って、充分に速く走れば、あらゆるものを見つけることができるし、誰にだってなれる……
アイスを壊せ
『Android: Netrunner』の非対称なゲームシステムは、コーポ側とランナー側で全く違った体験をもたらしてくれます。でもどちらであっても、プレイヤーは経験したことがないほどのゲームの流れの移り変わりを感じることでしょう。ゲームが開始した瞬間からプレイヤーには緊張が走り、各ターンのアクションをいかに巧く使って相手を出し抜くかに集中します。はったりを駆使して、リスクを計算し、損失を覚悟しつつ、短い時間で、限られた不完全な情報をもとに、プレイヤーは決断を下さなければなりません。
そして、プレイヤーたちは4つの巨大企業(ハアス−バイオロイド、ジンテキ、ウェイランド・コンソーシアム、NBN)と3つのランナーのクラス(アナーキー、クリミナル、シェイパー)を通してフレイバーに満ちた世界を味わうことができるでしょう。これら7つの陣営はいずれも『Android』世界の設定に基づいた個性的な特徴を持っていて、ゲームをより豊かなものにしています。
未来を切り開け
未来はここにあります。巨大企業とネットランナーが、現実を巡って争うのです。『Android: Netrunner』は 2012 年第3四半期のリリースを予定しています。もっと知りたい人は、製品情報ページをどうぞ!
『Android: Netrunner』はリチャード・ガーフィールドによってデザインされた古典カードゲームを基に作られた二人用のカードゲームで、『Android』に登場するディストピア的未来を舞台にしています。画一主義的巨大企業と孤独なネットランナーが、金になるデータをめぐって生きるか死ぬかの死闘を演じます。
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(*1) リヴィング・カード・ゲーム
Living Card Game、以下 LCG。いずれも Fantasy Flight Publishing 社の登録商標となっている。ひとことで言えば「ランダム性を排除した CCG」のようなものか。まず基本セットがあって、その後毎月エクスパンションを発売していくのだが、その内容は全部決まっている。その中からフォーマットにしたがってデッキを組んで対戦する、というのは旧来の CCG と同じ。プレイヤーの投資額が少なくて済む分参入障壁が低く、それでいてスタンドアロンのゲームとは違いカードプールが広がることによるダイナミズムも楽しめる、というシステム。らしい。メーカーとしては、CCG に比するとローリスクローリターン。
参考:Fantasy Flight Games [Living Card Games - About]
http://www.fantasyflightgames.com/edge_npm_sec.asp?eidm=14&esem=1
(*2)『Android』
Fantasy Flight Games がリリースしたボードゲーム。本文に出てきたニュー・アンジェルスと《豆の木》を舞台に、殺人事件の捜査をするゲームみたい。闇の隆盛までマジックのカードの和訳をつとめてらした進藤「みらこー」欣也氏がルールブックの私訳を作ってらっしゃって、それを読んで得た知識がおれのこのゲームに関して知るすべてなので詳しく知りたい人はそちらをご覧になってください。
奇跡家分館 -- 和訳ルールの部屋
http://logicwolf.sakura.ne.jp/kisekiya/translation/index.html
以下思いついたことなど。
・旧 Netrunner(以下「原作」とす)ではサイバーパンク 2.0.2.0. がベースになっていたけど今作では違うので、原作に登場する固有名詞は全て置き換わる、筈。
・本文中に差し挟まれている画像が実際のカードと思われるが、固有名詞を抜きにしても原作にあったカードは一枚もない。わざわざ全部変える必要もないし少なくとも機能的には残るカードも多いだろうが、まるっきり新しいカードも入るということなのだろう。
・《Adonis Campaign》あたりはリミテッド向きのカードパワーのようにも思われるが、LCG には原理上リミテッドが存在しない筈で、そこはちょっと気になるところ。リミテッド用のルールを作るのか、あるいはこれでも構築に届くのか。まあ全体のカードプール見ないとカードパワーのレベルは判断しようがないか。
・原作が出た頃は多分それほど気にならなかった筈だが、流石に『ニューロマンサー』からですら 28 年、サイバーパンクそのものがもはや完全に「来なかった未来」になっているのは否めず、訳していると future って単語が頻繁に出てくるのにとにかくひたすら懐かしい感じがした。自分は原作もちょっとだけやってたし復刻だということを知っているからこれはこれで、と思うが、若い人が初めて触れたらどんな風に感じるんだろう、というのはちょっと思った。余計なお世話だが。
・経済的/環境的理由で自分はたぶん買わないと思うが、もしここを読んでて SF 好き、かつ遊ぶ相手が周りにいる人は是非コアセットだけでも買ってみてほしい。原作通りのバランスなら面白さは保証する。
いつも通り、誤訳の指摘は歓迎します。「自分ならこう訳す」みたいなことでもいいです。コメント欄までお願いします。
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