翻訳:ズヴィに訊け!パート1(その1)
2011年12月4日 翻訳 コメント (2)あいつ最近翻訳やってないな、と思われてもまあ特に困ることもないのだけど、一応やってるんだよということで小出しに公開する。というか小出しにするのが目的でこの記事を訳しているというなんだか本末転倒な状態。でも、とにかく仕事帰りの地下鉄では絶対和訳をやる、と決めていて、それは続いているので個人的には悪くない英語との付き合い具合だと思っている。某地下鉄でポメラ開いたまま寝てる奴が居たらたぶんおれです。
これはスターシティゲームズでズヴィ・モーショヴィッツが書いた記事。日付は 2005-07-12 となっているので、ウィザーズ入りして間もない頃だと思う。なんでこのタイミングでこんな企画をやっていたのかはわからない。
原文:Ask Zvi, Part I
http://www.starcitygames.com/magic/misc/10033_Ask_Zvi_Part_I.html
質問をくれたすべての皆さんにまずは感謝したい――だけど、質問に答える前に少しだけ書いておきたいことがある。こんなことを書くのは初めてだしたぶんこれ一度きりになるだろうけど、4つの免責事項(*1)だ(マイケル・フェルドマンにはお詫びする)。
1.このコラムに登場するすべての質問は厳しいチェックを受けてるけど、実のところ回答はそうじゃない。曖昧だったり、誤解を招いたり、言葉足らずだったりする質問が来ることは普通にある。真実だけを知りたいという読者は自分でコラムを書くといい。空きはいくらでもあるって聞いてるから。
2.知ってるだろうけど、素晴らしい職場を見つけた時ってのは、最高裁判所が開廷したってことなんだ(*2)。
3.ウィザーズ・オヴ・ザ・コースト社の従業員だってことは運のいいことで、特にウィザーズでは多くの社員が仕事の一部としてこれを読んでいる。つまり彼らは自分たちでは実際には質問することなく時間を使っちゃってるってわけだ。質問は複数でもかまわない。そのかわり、一度自分の質問が終わったら、手を自分の尻の下に入れておとなしく座っていて欲しい。他の誰かにチャンスを与えてやってくれ。
4.このコラムの中で表明される意見はウィザーズ・オブ・ザ・コースト社やスター・シティ・ゲームズや、そこの社員や従僕のものじゃない。そうだと言い張る人が居たら喧嘩を売ってると見なす。
----------------
(*1)4つの免責事項
アメリカの長寿ラジオ番組「Whad’ya Know?」のクイズパートで使われている免責事項。会場の参加者に渡されるとともに、番組自体でも毎回読み上げられて放送されているらしい。マイケル・フェルドマンはその番組の司会者。以下の1~4はそれのパロディになっている。不自然だったり意味不明だったりするところがあるのは、おれの訳が悪いから。
(*2)知ってるだろうけど、素晴らしい職場を見つけた時ってのは、最高裁判所が開廷したってことなんだ
Wouldn’t you know, just when you find a great place to work there’s finally a Supreme Court opening.
何を言っているのかわからない。opening の意味すらわからないという低鱈苦。「空きがある」なのか?
----------------
質問:研究開発部はどの程度までカードレベルを押し上げるべきだと考えてますか? 《煙突のインプ》や《彼方蒔》は許容できるレベルでしょうか?
回答:カードってのはデッキに入るようにデザインされたところまで押し上げられるべきだね。(*3)
ここで止めたらたぶん表に警官とか来ちゃうからもう少し続けよう。まず、あらゆるカードを構築で(どころかドラフトですら)通用するレベルにすることなんてできない。そんなことをしたらカードパワーのインフレが起きてしまう。どちらかを選ばなくちゃいけないんだ。個別のカードについてパワーを引き上げることは簡単だよ。だけど影響は予想がつかないし危険でもある。《彼方蒔》や《煙突のインプ》にはなにも間違ったところはない。ただちょっとマナコストが高すぎるだけで……でも僕は一度、飛行クリーチャーがほしくてたまらなかったとき、《煙突のインプ》をデッキに入れることを考えたことがある。その時は強い装備品を持ってたんだ。
僕の考えでは、大部分のカードは最低でも特定の状況ではその効果があったらいいなあと望まれる程度の力はあるべきで、そうであればおそらくそのカードはリミテッドでは出番があるだろう。僕が「これはどうだろう?」って考えるほどそのカードはよくなる。でも、許容できないほどコストの高すぎる数枚のカードはゲームにある種の個性を与えるし、カードってのはどうすれば強くなるのかを考える機会をプレイヤーに提供している。
1枚の《彼方蒔》はいい。あんなのが10枚もあるとまずい。全体としては、僕は少しだけ強く押し上げてたけど、あまり劇的にはやらないようにしてた。
----------------
(*3)カードってのはデッキに入るようにデザインされたところまで押し上げられるべきだね。
:Cards should be pushed to the extent that they are designed to be playable.
訳も日本語になってないしお手上げ。原文は上の通り。そもそも push のニュアンスがわからない。この Q&A で同じ使い方が何度も何度も出てくるんだけどそれでもわからないんだよな。参りました。ついでに質問のほうも載せておく。
:How far should R&D push to make cards playable?
やっぱりわからない。厳しい。
----------------
質問:リミテッドという観点からカードをデザインするとき、どこまで強いと「強すぎ」だと思いますか? 下手なプレイヤーでも試合に勝たせてしまうようないわゆる“出せば勝ち”カードは作られるべきでしょうか?(たとえば《梅澤の十手》《曇り鏡のメロク》《山伏の長、熊野》あたりのカードを意図しています)
回答:強くないプレイヤーにも、リピーターになってもらわなくちゃいけない。その強くないプレイヤーたちこそが次の年には強いプレイヤーになる。平均ぐらいのプレイヤーたちに、強いプレイヤーを負かすチャンスを与えなくちゃいけない――時には、トーナメントを勝つチャンスさえも。もし誰ひとり勝てないんだとしたら誰もカジノになんて行かないだろう? いつか誰かは必ず勝つことになってるわけだ。ポーカーだって、強い手が決してクラックされることがないとしたら、そんなのまったく楽しくない。
《梅澤の十手》ぐらい極端な例になると、それだけで格上のプレイヤーを負かすことができるほどに強い。こういうカードはレアじゃなきゃいけないし、その中でも少数にとどめなければならない。僕が思うに、《山伏の長、熊野》はリミテッドのぶっ壊れレアとして適正な強さだ。《梅澤の十手》はそれをはるかに超えてしまっている……でも、これを刷らなければよかったとまでは考えていない。それを決めるのは構築での評価のほうだしね!
以前から《ファイレクシアの処理装置》みたいな“俺の勝ち”レアは存在したけど、構築でのインパクトや、カジュアル・プレイヤーの楽しみを犠牲にしてまでリミテッドでのぶっ壊れレアを排除すべきだとは思わない。あと指摘しておきたいのは、あなたが挙げた3枚のカードはどれも構築で出番があったということだ。もしそうでなかったとしたら、そういうカードは悪でしかない。
これはスターシティゲームズでズヴィ・モーショヴィッツが書いた記事。日付は 2005-07-12 となっているので、ウィザーズ入りして間もない頃だと思う。なんでこのタイミングでこんな企画をやっていたのかはわからない。
原文:Ask Zvi, Part I
http://www.starcitygames.com/magic/misc/10033_Ask_Zvi_Part_I.html
質問をくれたすべての皆さんにまずは感謝したい――だけど、質問に答える前に少しだけ書いておきたいことがある。こんなことを書くのは初めてだしたぶんこれ一度きりになるだろうけど、4つの免責事項(*1)だ(マイケル・フェルドマンにはお詫びする)。
1.このコラムに登場するすべての質問は厳しいチェックを受けてるけど、実のところ回答はそうじゃない。曖昧だったり、誤解を招いたり、言葉足らずだったりする質問が来ることは普通にある。真実だけを知りたいという読者は自分でコラムを書くといい。空きはいくらでもあるって聞いてるから。
2.知ってるだろうけど、素晴らしい職場を見つけた時ってのは、最高裁判所が開廷したってことなんだ(*2)。
3.ウィザーズ・オヴ・ザ・コースト社の従業員だってことは運のいいことで、特にウィザーズでは多くの社員が仕事の一部としてこれを読んでいる。つまり彼らは自分たちでは実際には質問することなく時間を使っちゃってるってわけだ。質問は複数でもかまわない。そのかわり、一度自分の質問が終わったら、手を自分の尻の下に入れておとなしく座っていて欲しい。他の誰かにチャンスを与えてやってくれ。
4.このコラムの中で表明される意見はウィザーズ・オブ・ザ・コースト社やスター・シティ・ゲームズや、そこの社員や従僕のものじゃない。そうだと言い張る人が居たら喧嘩を売ってると見なす。
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(*1)4つの免責事項
アメリカの長寿ラジオ番組「Whad’ya Know?」のクイズパートで使われている免責事項。会場の参加者に渡されるとともに、番組自体でも毎回読み上げられて放送されているらしい。マイケル・フェルドマンはその番組の司会者。以下の1~4はそれのパロディになっている。不自然だったり意味不明だったりするところがあるのは、おれの訳が悪いから。
(*2)知ってるだろうけど、素晴らしい職場を見つけた時ってのは、最高裁判所が開廷したってことなんだ
Wouldn’t you know, just when you find a great place to work there’s finally a Supreme Court opening.
何を言っているのかわからない。opening の意味すらわからないという低鱈苦。「空きがある」なのか?
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質問:研究開発部はどの程度までカードレベルを押し上げるべきだと考えてますか? 《煙突のインプ》や《彼方蒔》は許容できるレベルでしょうか?
回答:カードってのはデッキに入るようにデザインされたところまで押し上げられるべきだね。(*3)
ここで止めたらたぶん表に警官とか来ちゃうからもう少し続けよう。まず、あらゆるカードを構築で(どころかドラフトですら)通用するレベルにすることなんてできない。そんなことをしたらカードパワーのインフレが起きてしまう。どちらかを選ばなくちゃいけないんだ。個別のカードについてパワーを引き上げることは簡単だよ。だけど影響は予想がつかないし危険でもある。《彼方蒔》や《煙突のインプ》にはなにも間違ったところはない。ただちょっとマナコストが高すぎるだけで……でも僕は一度、飛行クリーチャーがほしくてたまらなかったとき、《煙突のインプ》をデッキに入れることを考えたことがある。その時は強い装備品を持ってたんだ。
僕の考えでは、大部分のカードは最低でも特定の状況ではその効果があったらいいなあと望まれる程度の力はあるべきで、そうであればおそらくそのカードはリミテッドでは出番があるだろう。僕が「これはどうだろう?」って考えるほどそのカードはよくなる。でも、許容できないほどコストの高すぎる数枚のカードはゲームにある種の個性を与えるし、カードってのはどうすれば強くなるのかを考える機会をプレイヤーに提供している。
1枚の《彼方蒔》はいい。あんなのが10枚もあるとまずい。全体としては、僕は少しだけ強く押し上げてたけど、あまり劇的にはやらないようにしてた。
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(*3)カードってのはデッキに入るようにデザインされたところまで押し上げられるべきだね。
:Cards should be pushed to the extent that they are designed to be playable.
訳も日本語になってないしお手上げ。原文は上の通り。そもそも push のニュアンスがわからない。この Q&A で同じ使い方が何度も何度も出てくるんだけどそれでもわからないんだよな。参りました。ついでに質問のほうも載せておく。
:How far should R&D push to make cards playable?
やっぱりわからない。厳しい。
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質問:リミテッドという観点からカードをデザインするとき、どこまで強いと「強すぎ」だと思いますか? 下手なプレイヤーでも試合に勝たせてしまうようないわゆる“出せば勝ち”カードは作られるべきでしょうか?(たとえば《梅澤の十手》《曇り鏡のメロク》《山伏の長、熊野》あたりのカードを意図しています)
回答:強くないプレイヤーにも、リピーターになってもらわなくちゃいけない。その強くないプレイヤーたちこそが次の年には強いプレイヤーになる。平均ぐらいのプレイヤーたちに、強いプレイヤーを負かすチャンスを与えなくちゃいけない――時には、トーナメントを勝つチャンスさえも。もし誰ひとり勝てないんだとしたら誰もカジノになんて行かないだろう? いつか誰かは必ず勝つことになってるわけだ。ポーカーだって、強い手が決してクラックされることがないとしたら、そんなのまったく楽しくない。
《梅澤の十手》ぐらい極端な例になると、それだけで格上のプレイヤーを負かすことができるほどに強い。こういうカードはレアじゃなきゃいけないし、その中でも少数にとどめなければならない。僕が思うに、《山伏の長、熊野》はリミテッドのぶっ壊れレアとして適正な強さだ。《梅澤の十手》はそれをはるかに超えてしまっている……でも、これを刷らなければよかったとまでは考えていない。それを決めるのは構築での評価のほうだしね!
以前から《ファイレクシアの処理装置》みたいな“俺の勝ち”レアは存在したけど、構築でのインパクトや、カジュアル・プレイヤーの楽しみを犠牲にしてまでリミテッドでのぶっ壊れレアを排除すべきだとは思わない。あと指摘しておきたいのは、あなたが挙げた3枚のカードはどれも構築で出番があったということだ。もしそうでなかったとしたら、そういうカードは悪でしかない。
コメント
>素晴らしい職場を見つけた時ってのは、最高裁判所が開廷したってことなんだ
> just when you find a great place to work there’s finally a Supreme Court opening.
ウィザーズに属したことで言えないことができた(検閲が入る)ってことでしょうか。
ムズいですね、これ。
>Cards should be pushed to the extent that they are designed to be playable
どれだけ強化するか/向上させるか、って話かと思いました。
デッキに入る可能性がある程度まではカードの強さを押し上げるべき、って意味として、質問内容は「R&Dも全てのカードに最低限持たせなければいけない強さのレベルってのはあるはずで、そのレベルってのをどれだけ高くすべきなんでしょうね?」ということかと推測しました。
>余談
ポメラの使い勝手が気になります。
>ウィザーズに属したことで言えないことができた(検閲が入る)ってことでしょうか。
なるほど。確かにズヴィはウィザーズで働くことを熱望していました。が、ここではもう少し一般的な話をしているようにも思えます。
>そのレベルってのをどれだけ高くすべきなんでしょうね?
質問者はある程度具体的に知りたいのに、ズヴィは「まあデッキに入るぐらいじゃないの?」ととぼけた回答をしている、という感じなんでしょうか。push は確かに強化/向上系の意味で使っているっぽいです。
>ポメラ
個人的には気に入っています。画面の広さ、キーボードの大きさもよく考えられているなあと思いますし、なんといっても立ち上げ/立ち下げが素晴らしく早い。初代はひとつのファイルに 16KB 弱ぐらいしか入らないという仕様もあるのですが、自分の使い方だとまあ気になりませんし、後のモデルでは解消されてるはずです。
ただ、画面にしてもキーボードにしても駄目な人は駄目かなという気もするのです。もし導入される心算がおありなら実機に触ってからのほうがいいと思います。難しいかも知れませんが……。
ともあれありがとうございました。