少し前にリブログされていたので追記的に書いておく。まあリブログされてる記事の元記事読む人は中々居ないし、まして別のエントリまで手が伸びることなんて殆ど皆無だろうけど、一応。
カイ・ブッディはインヴィテーショナルカードのことを「あんなのはくじびきみたいなもんだ」とディスっていた
http://drk2718.diarynote.jp/201107310131488291/

と書いたのだけど、これはあまり公平な物言いではなかった。元記事である PV のカイ・ブッディインタヴューから該当部分を訳してみる。

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http://www.channelfireball.com/articles/pvs-playhouse-from-great-to-greatest/
PV’s Playhouse -- From Great to Greatest

――あなたのインヴィテイショナルカードについてはどんなご感想ですか。

勘弁してよ、あれは僕が作ったカードじゃないんだ。インヴィテイショナルなんて毎回みんなすごい莫迦強いカード提出して、それをウィザーズが適当にいじるだけなんだから。僕は《非凡な虚空魔道士/Voidmage Prodigy》のデザインには全く関わってないんだよ。僕が提出したのはこんなカードだった:
(青)
エンチャント
対戦相手は、手札を公開したままプレイする。
(青),[カード名]を生け贄に捧げる:カードを1枚引く。
(青)(青),[カード名]を生け贄に捧げる:呪文ひとつを対象とする。それを打ち消す。

クリス・ピキュラが出したのはこれ:
(1)(青)(青)
2/3
[カード名]が場に出たとき、カード名をひとつ指定する。
[カード名]を生け贄に捧げる:指定した名前の呪文ひとつを対象とする。それを打ち消す。

これが《翻弄する魔道士》になった。ぶっ壊れたカードが作られるか、キャンプファイヤーの焚き付けにしたくなるようなカードができるか、まるっきりくじ引きみたいなもんなんだよ。
でもプレイヤーにカードデザインさせるの、どうして止めちゃったんだろうね。だって提出されたカードとまるっきり関係ない、どのセットに入っても活躍できるようなものを作っちゃうぐらいなんだから、ウィザーズにとってはコストは文字通りゼロだよね。すごくいい企画だと思うんだけど。
世界選手権の優勝者か、プレイヤー・オヴ・ザ・イヤーの獲得者がカードをデザインするべきだと思うよ。そうすればそのふたつのタイトルにも箔がついて、プロツアーよりはっきり上になるし、誰にとってもわかりやすい憧れになるだろう。
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いかにトッププレイヤーと言えどもデザインについては素人なわけだし、実際ぶっ壊れたカードを提出する奴も多いんだから、ある程度修正が入るのは仕方がないことだと思う。だけど、例えば先日書いた《真面目な身代わり》のように適切なデザインをすればやっぱり使えるカードを刷ってもらえるし、《翻弄する魔道士》は確かに強かったけど強すぎるというほどでもなく、なにより根本的なアイデアのセンスがよかった。
カイ・ブッディのカード(《Wisedrafter’s Will》という名前だったと思う)がどうだったか、というのは今となっては判断が難しいけど、リアルタイムで見たときはいささか「ただ強」のカードだなあ、と思ったのを憶えている。当時の水準ではそのまま刷るわけにはいかなかっただろう。もちろん《非凡な虚空魔道士》が弱すぎたのは否めないし、イラストもひどかったのはウィザーズすら認めていることだ。「同情する」と書いたのは主にその辺りに対してだった。

最大の問題は《闇の腹心》だ。ボブ・マーハーの提出した原案は(よく知られているところだが)
Asp’s Grasp (緑)
ソーサリー
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは毒カウンターを9個得る。

こういうものだった。これはデザインセンスやパワーバランス以前のレベルで、当時毒カウンターは二度と使われることのないアイデアだと思われていたことも含めて、お話にならないデザインだし、なにより誠実さを欠いていると思う。つい張り切って強すぎるカード作っちゃった、とか、独創性がなくてどっかで見たようなつまらないカードになっちゃった、とかなら仕方がないと思うのだが、このデザインにはそういう弁解の余地すらない。
これに対して実際刷られたカードが全カード中でも最強に近い2マナクリーチャー《闇の腹心》だというのは、著しく不公平な話だと思う。上で引用したブッディの文でも、下から二段落目の「提出されたカードとまるっきり関係ない、どのセットに入っても活躍できるようなもの」は明言こそされていないがおそらくこのカードだろう。皮肉めかしてはいるが多分結構腹を立てている。この立腹についてはおれも全く同感だ。
カードのパワーレベルの調整が非常に難しいものであることは理解する。それでも、PV じゃないけど、いい原案はいいカードとして報われるべきだと思うし、ひどい原案にはそれなりのカードが刷られるようであってほしい。まあ、インヴィテイショナルカードどころかインヴィテイショナルも止めちゃった今となっては、あんまり意味のない議論ではあるけど。

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このインタヴューは結構面白かったのでそのうち全文訳してみたいと思っている。が、思っているだけで一文字たりとも始めてないので、もし例えばこれを読んで訳そうと思った人が居たら訳してもらえたらむしろ嬉しい。そして実際に訳されるのであれば一言コメント欄ででもお知らせいただけると大変有難い。もちろんこれは全く身勝手なお願いなので、守っていただく必要はかけらもない。

コメント

re-giant
2011年9月2日6:16

訳してみようかと思います。

高潮の
2011年9月3日0:14

お知らせいただいて有難うございます。結局今に至っても一文字たりとも始めてませんで。訳楽しみにしてます。

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